退職後の救世主「失業保険」、とても助かりますよね。
しかし、待機期間や給付制限といった、全く収入のない期間が出てきます。
また、すぐに振り込まれるわけではなく、認定日に手続きをして数日~1週間ほど、手元に入るまで時間がかかるのが実態です。
その期間、アルバイトやパートができないか、考える方もいますよね。
結論、ルールを守れば、失業保険受給中に、アルバイトをすることができます。
では、いくらまで働いて良いのか、損せずに受給するにはどうすべきか、知りたいですよね。
本記事では、実際にアルバイト時間を申告しながら、失業保険の受給経験がある筆者が、アルバイトをする注意点をまとめています。
アルバイトをするうえでの条件は?受給不可にならないために気をつけること
アルバイトをしながら失業保険を受給する場合、必ずハローワークに申告しましょう。
その他に、以下の2つのことに注意しましょう。
- 契約期間は31日未満、労働時間は週20時間以内にする
- 収入は離職時賃金日額の80%以下にする
そうしないと、受給がストップしたり、受給額を減額されたりして、損する場合があります。
では、細かく条件をみていきましょう。
契約期間は31日未満、労働時間は週20時間以内にする
アルバイトをする場合、契約期間は31日未満、労働時間は週20時間以内に調整して、雇用保険の加入対象にならないように気をつけましょう。
雇用保険の加入対象は以下の通りで、これら条件がそろえば、アルバイトであっても雇用保険に加入することになります。
厚生労働省 雇用保険制度「雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!」より引用
- 31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること。具体的には、次のいずれかに該当する場合をいいます。
- 期間の定めがなく雇用される場合
- 雇用期間が31日以上である場合
- 雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合
- 雇用契約に更新規定はないが同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある場合 ( 注 )
[(注)当初の雇入時には31日以上雇用されることが見込まれない場合であってもその後、31日以上雇用されることが見込まれることとなった場合には、その時点から雇用保険が適用されます。]- 1週間の所定労働時間が 20 時間以上であること。
雇用保険の加入対象となった場合、「就職」とみなされ、受給が終了します。
この「就職」には、アルバイト、パートも含むので注意が必要です。
そのため、アルバイトをする場合は、週20時間を超えないようにしましょう。
また、契約期間が明確でない場合も、「就職」したと判断される可能性があります。
雇い主とは期間限定、31日未満の契約としておくことが良いでしょう。
契約条件を雇い主が証明する「労働条件通知書」というものがあります。
この通知書を記載してもらっておくと、ハローワークから条件の明示を求められた際に安心です。
収入は離職時賃金日額の80%以下にする
失業保険でもらえる1日あたりの金額を「基本手当日額」といいます。
アルバイトをした場合、この基本手当日額から減額されたり、もしくは不支給になったりするので注意が必要です。
基本手当日額を全額支給されるためには、収入は離職時賃金日額の80%以下にする必要があります。
※ここでの収入とは、1日のアルバイト代から年度ごとに決められた控除額を差し引いた額
- 基本手当日額
-
失業保険の1日あたりの金額。
賃金日額に指定された給付率をかけた額で、上限下限が決められている。 - 離職時賃金日額
-
離職した日の直前の6か月に毎月決まって支払われた賃金から算出した金額。
離職以前6ヶ月の賃金の合計を180日で割ったもの。通勤手当、超勤手当、住宅手当などは含まれ、賞与(ボーナス)・傷病手当金は含まれない。
※自分の日額がわかる図解はこちら開いてご参考ください。
- 控除額
-
失業期間中にアルバイト収入がある場合の基本手当の減額の算定に係る控除額というのが定められている。
控除額は毎年8月に厚生労働省から発表されている。
働いた額から控除額を引いた金額をベースに計算できるので、少しお得に算出できると思っておけばOK!厚生労働省 令和6年8月1日からの基本手当日額等の適用について
こちらの「失業保険をもらいながらゆっくり就活したい!条件や計算方法を受給経験者が伝授」で、詳しい算出方法を解説しているので、参考にしてみてください。
もし、全額支給されないとなると、減額もしくは不支給になります。
基本手当日額の減額支給になる場合
収入と基本手当日額が、80%超えた場合、超えた額分が減額されて支給されます。
基本手当日額の不支給になる場合
収入だけで離職時賃金日額の80%を超えると、不支給となります。
たとえ4時間未満のアルバイトでも不支給となるので、注意してください。
4時間以上のアルバイトは金額に関係なく不支給となるので、詳しくは次の章で解説します。
不支給といっても、その日分が先送りされるだけです。
とはいえ、受給終了日が伸びてしまうと困る人もいますよね。
おすすめは短期や単発のバイト。受給しながらアルバイトをする条件を満たしやすく、すぐに収入が入ってくるので生活の支えになります。
実際に私もアルバイトの収入も得ながら受給したので、きちんとルールを知ったうえでやってみると、難しいことではないですよ。
\すぐ働ける単発バイトで生活費を増やす/
4時間未満のアルバイトは損する?働くなら知っておきたい仕組みを解説
以下の通り、4時間未満と4時間以上のアルバイトでは、取り扱いが異なります。
4時間ぴったりは、4時間以上の方に入るので注意!
では、何がどう変わってくるのか、詳しくみていきましょう。
1日4時間以上のアルバイトは、先送りされるだけ
4時間以上のアルバイトした日は、就労した日と取り扱われます。
その場合、基本手当日額は不支給ですが、その日もらえるはずだった基本手当日額が先送りされるだけ!
就労した日分が、受給最終日の後に回されます。
例えば、4時間以上のアルバイトを2日した場合、5月31日で受給期間終了だった予定が、6月2日になります。
先送りとは
上記の5/24~6/2の得られる金額の違いは以下のとおりです。※アルバイト代は時給1,000円とする。
◎アルバイトをしなかった(上の段)場合:4,747×8日=37,976円
◎アルバイト4時間以上を2日間した(下の段)場合:合計48,976円
<4,747×8日=37,976>+<バイト代5/25 7000円>+<バイト代5/29 4000円>=48,976円
ここで1点注意点があります。
それは、失業保険の受給期間を超えないようにすべき点です。
失業保険を受給できる期間は、原則、離職日の翌日から1年間です。
この期間を意識せず、退職してから、ハローワークに離職票を提出するまでの期間、アルバイトをしすぎて受給期間を減らしてしまうケースが以下のような場合です。
失業保険の手続き開始が遅れたことにより、1年間を過ぎた給付日数分×受給額がもらえなくなります。
先送りばかりして受給期間が終わってしまった、ということにならないようにだけ注意しましょう。
満額もらえないと、損した気分になりますよね。
1日4時間未満のアルバイトは、もらえる日額から減額される可能性あり
いくら減額されるかは、稼いだ金額、基本手当日額によって異なります。
簡単に調べられますので、4時間未満のアルバイトをする方は、以下を参考に計算しておきましょう。
- 離職時賃金日額(雇用保険受給資格者証の11番の金額)
- 基本手当日額(雇用保険受給資格者証の19番の金額)
- その日のアルバイト代
画像:雇用保険受給資格者証
ハローワークインターネットサービス:雇用保険の具体的な手続きより
▼雇用保険受給資格者証がまだで、離職時賃金日額や基本手当日額を知りたい方は、この記事を参考に計算できます。
では、いくら稼いだら減額の対象になるか説明します。
下記①と②をそれぞれ計算しましょう。
①と②どちらが多くなったかを比較すれば、すぐに減額の有無がわかります。
①<②の場合・・・減額なし
①>②の場合・・・オーバーした差額が減額
つまり、①の金額を離職時賃金日額の8割を超えない金額に収めれば、先送りも、減額もしません!
上記の5/24~5/31の得られる金額の違いは以下のとおりです。※アルバイト代は時給1,000円とする。
◎アルバイトをしなかった(当初予定)場合:4,747×8日=37,976円
◎アルバイト4時間未満を2日間した(下の段)場合:合計41,415円
4,747×6日=28,482円
【算定5/26】①4,747+1,500-1,354=4,893<②6,666円×0.8=5,332円
∴基本手当日額4,747円+バイト代1,500円=6,247円
【算定5/30】①4,747+3,000-1,354=6,393>②6,666円×0.8=5,332円 差額1,061円が減額
∴基本手当日額4,747円+バイト代3,000円-減額1,061円=6,686円
時給が決まっているアルバイトであれば、何時間までなら減額されずに働けるかを計算しておいて、損を防ぎましょう!
いくらまでなら損せずに稼げる?
離職時賃金日額は退職直前の給料によって決まるので、失業保険をもらいながらいくらまで稼げるかは人によって異なります。
とはいえ、1日何円まで稼いだら受給終了にならず、減額もされずに済むか気になりますよね。
何円までなら受給終了にならずに働けるか
→1日単位ではなく、週・月単位でみることになりますが、アルバイト先の雇用保険に加入するほど働かなければOK
1日何円のバイト代なら減額されずに働けるか
→自分の離職時賃金日額がわかれば計算して見通しがたつので、これから解説する内容を参考にしてみてください。
いくらまでなら損せずにアルバイトできるか、考え方は二通りあります。
- 4時間以上のアルバイトで、先送りする(不支給だが、減額はない)
- 4時間未満のアルバイトで、離職時賃金日額の80%を超えない範囲でアルバイトをする
❷のパターンの方が、失業給付とアルバイト収入の両方を得ることができます。
では、事例を使って具体的な数字でみてみましょう。
【事例】離職時賃金日額6,666円・基本手当日額が4,747円の人が、時給1,000円で3時間アルバイトをした場合
離職時賃金日額は離職以前6ヶ月の賃金の合計÷180で計算された額です。その金額×0.8の額を算出しましょう。
6,666円×0.8=5,332円・・・②
時給1,000円×3時間=3,000円
3,000円-1,354円=1,646円
STEP2で算出した1,646円+4,747円=6,393円・・・①
事例の場合①6,393円>②5,332であるため、基本手当日額から、差額の1,061円が減額されて受給されます。
本来、基本手当日額が4,747円もらえるはずが減額されて3,686円になりますので、アルバイトで3,000円稼いでも実質1,939円しか稼いでいないことと同じことに。
そうなるくらいなら、4時間以上のアルバイトするor4時間未満でも高単価なアルバイトを探して、先送りにした方が損を防げます。
失業保険受給中なら、単発バイトがおすすめ!
画像引用元:GooglePlay ショットワークスアプリ
アルバイトができる期間と、できない期間がある
失業保険の受給対象となる場合、おおまかに以下のSTEPをふむことになります。
時期によって、アルバイトができる、できないが異なりますので、よくチェックしましょう。
では、細かい条件等、説明していきます。
【求職申込前】アルバイトしてもよい
求職申込前とは、退職してから、ハローワークに離職票を提出するまでの期間をいいます。
つまり失業保険の手続きを開始するまでは、アルバイトを自由にして問題ありません。
しかし、2点注意してください。
- 雇用保険の加入対象になるほど働かない
- 失業保険の受給期間を減らさないようにする
では、一つずつ理由を説明します。
❶雇用保険の加入対象になるほど働かない
雇用保険の加入対象になるほど働いてしまうと、受給額が減る恐れがあります!
というのも、失業保険の受給額は、離職以前6ヶ月の賃金の合計から算出されます。
※あくまでも、雇用保険の加入対象になるほどアルバイトをした場合ですが、アルバイトの場合でも、その月の収入を1ヶ月とみなされ、計算に反映されます。
雇用保険の加入対象の条件を確認したい方はこちら
厚生労働省 雇用保険制度「雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!」より引用
- 31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること。具体的には、次のいずれかに該当する場合をいいます。
- 期間の定めがなく雇用される場合
- 雇用期間が31日以上である場合
- 雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合
- 雇用契約に更新規定はないが同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある場合 ( 注 )
[(注)当初の雇入時には31日以上雇用されることが見込まれない場合であってもその後、31日以上雇用されることが見込まれることとなった場合には、その時点から雇用保険が適用されます。]- 1週間の所定労働時間が 20 時間以上であること。
❷失業保険の受給期間を減らさないようにする
失業保険を受給できる期間は、原則、離職日の翌日から1年間です。
この期間を意識せず、退職してから求職申込前の期間に、アルバイトをしすぎて受給期間を減らしてしまうケースが以下のような場合です。
失業保険の手続き開始が遅れたことにより、1年間を過ぎた給付日数分×受給額がもらえなくなります。
満額もらえないことになり、損した気分になりますよね。
求職申込前はアルバイトをしても問題はありません。
しかし、説明したような注意点があるので、特別理由がなければ、むしろ早く受給手続きを始めることをおすすめします。
【7日間の待機期間中】働いてはいけない
待期期間とは、ハローワークに離職票を提出し、求職申込してから7日間をいいます。
この7日間の待機期間中は、失業状態を調査する期間ですので、わずかな収入もあってはなりません。
そのため、どのようなアルバイトであっても、やらないようにしましょう。
もしアルバイトをしてしまったら、待機期間の延長がなされて、受給開始を後らせてしまいますので、しないことが無難です。
【給付制限と給付日数分の期間】アルバイトしてもよい
ただし、収入額や働いた時間によって、受給額や期間に影響するので、しっかりと把握して働くことをおすすめします。
アルバイトをする場合の注意点をもう一度確認したい方は「アルバイトをするうえでの条件は?受給不可にならないために気をつけること」に戻って、再確認しましょう。
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失業保険を受給しながらアルバイトをする場合、スキマバイトが相性がよいです。
おすすめのスキマバイトアプリの紹介はこちらを読んでください!
必ずハローワークへ正しく申告をしましょう
就労した日、内職をした日、内職で収入を得た額、全てハローワークに報告をすることになります。
報告方法は簡単!
申告方法
失業認定申告書の日付に、就職または就労した日は〇印、内職または手伝いした日は✕印を記入します。
画像引用元:ハローワーク「失業認定申告書」
正しく申告しなかった場合のペナルティ
アルバイトやパートの仕事をしたのに申告しなかったり、就労日や就労時間を偽って申告して給付を受けたりした場合は、どんな些細なことであっても不正受給となります。
不正受給となると、法律により、以下の罰則があるので、絶対に正しい申告をしましょう。
- 不正な申告をした日以降、基本手当が受けられない
- 不正受給した基本手当は全額返金、さらに不正受給をした金額の2倍の金額の納付
- 詐欺罪で処罰される可能性もあり
申告が面倒に思えて、ちょっとアルバイトしたくらい「バレるわけないだろう」と思っていませんか?
少しくらい、と思うかもしれませんが、バレたら、本来もらえる金額がなくなるだけでなく、納付命令がなされます。
結果として、もらっていた失業保険の3倍の額を支払うことになります。
失業保険受給中のアルバイトの探し方とおすすめサービス3選
失業保険受給中は、うまくアルバイト先やシフト、収入を決めなければ、受給終了や減額の可能性があります。
収入を一時的に得るのが目的だと思いますので、相性がいいのは「スキマバイト」です。
1日だけ働いて、バイト代は即日入金できる場合が多いので、失業保険受給中にぴったりの働き方ができます。
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そうすれば、先送りになるので、受給額に影響しません!
では、上記の条件で仕事が見つけやすい、安心安全のスキマバイト検索サイトを3つ紹介します。
安心安全のスキマバイト検索サイト
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こちらの記事「スキマバイトとは?やり方やおすすめな人を詳しく解説」では、スキマバイトサイトの特徴を紹介しているので、スキマバイトがどんなものか気になる方は、ぜひ参考にしてください。
失業保険受給中のアルバイトでよくある質問
失業保険受給中にアルバイトをする際、気になる質問をまとめました。
※なぜ週20時間勤務が月87時間になるかの考え方は、以下を参考ください。
- 1年分(52週で換算)の労働時間を算出する
-
・・・20時間×52週=1040時間
- 1年分の労働時間を元にして、1ヶ月分の労働時間を算出する
-
・・・1040時間÷12ヶ月=86.66…時間 ≒ 86時間40分
分の単位を切り上げ、週20時間の労働を、1ヶ月単位に換算すると87時間になることがわかります。
ただし、この考え方はハローワークによって異なる可能性があるため、パッと見て1週間20時間を超えるアルバイトをする前には、確認して働くことをおすすめします。
アルバイトをしながら失業給付をもらうには
アルバイトをしながら失業給付を受けるために必ず守るべきルールはこちらです。
- 必ず正確に申告する
- 7日間の待機期間中は、働いてはいけない
- 契約期間は31日未満、労働時間は週20時間以内にする
アルバイトをしながら、損をせずに受給するには2通りの方法があります。
- 4時間以上のアルバイトで、先送りする(不支給だが、減額はない)
- 4時間未満のアルバイトで、離職時賃金日額の80%を超えない範囲でアルバイトをする
生活の支えになるアルバイトですが、前職よりも稼ぐ状態が続いてしまうと、失業状態とみなされず受給不可になる可能性もあります。
一方で、スキルをあげる、経験を積むといったメリットもありますので、求職活動はおこないながら、うまく付き合っていくことが大切です。
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